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JOURNAL

Vol.2 -Ep.1 | 熱に弱い素材と、丁寧に向き合う

「熱に弱い素材と、丁寧に向き合う」

ポリ乳酸染色の難しさと、研究の日々

 

染色というプロセスは、色をつけるだけでなく、素材の個性と対話するような繊細な工程です。

ENSULO(エンスーロ)製品に使われているポリ乳酸素材は、環境に配慮した特性を持つ一方で、熱やアルカリに弱く、一般的な染色とは異なる配慮が求められます。

 

 

「この素材は一度で染めなければならない。やり直しができないんです」と話すのは、染色工場で長年染色と向き合ってきた技術者の方。

実際、過度な熱や染め直しによって、生地が切れてしまったり、色が蒸発して堅牢度が落ちてしまうなど、予期せぬトラブルもあったといいます。

 

そうした失敗を重ねながらも、「素材の特徴を一つひとつ把握し、テストを重ねることで、ちょうどいい条件を見つけていきました」

素材と対話するように、何度も確認と調整を繰り返しながら、染色の可能性を広げていきました。

 

とくに乾燥工程では、高温で短時間に仕上げる従来の方法ではなく、3倍の長さをもつテンター機を使い、低温かつゆっくりと仕上げるという工夫も取り入れました。

「いかに素材を傷つけず、きれいに仕上げるか」

──その想いが、染色という工程のすみずみにまで丁寧に染み込んでいました。

 

 

このような新しい素材への挑戦は、染色の在り方そのものを問い直す機会でもあります。

「手をかけすぎない」という工夫は、複雑さを省き、素材が本来持つ風合いを活かすという発想でもあります。

手数を減らしながらも、品質は落とさない。

その加減こそが職人の経験と勘によって支えられています。